あけましておめでとうございます。−2016年業績

 皆様、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
今年は酉年ですが、トリインフルエンザだけは流行らないよう願いたいものです。

さて、新年早々堅い話で恐縮ですが、当教室の2016年度に掲載となった、インフルエンザ/呼吸器ウイルス関係の論文をご紹介します。


1). Zaraket H, and Saito R. Japanese Surveillance Systems and Treatment for Influenza. Curr Treat Options Infect Dis:doi:10.1007/s40506-40016-40085-40505. 2016.

【コメント】
以前当教室の留学生でいまはレバノンに帰ったハッサンとの共著です。
日本のサーベイランスと、インフルエンザの治療(主にNA遺伝子阻害剤)について書きました。

日本のNA阻害剤の適応について英文の論文で、一覧表がなかったので書きました。どうぞ皆様引用お願いします。

締め切りを何度も延ばしてしまい、編集者のJulian Tang先生をはらはらさせたと思いますが、一番はらはらしたのは私・・だと思います。


2). Hibino A, Kondo H, Masaki H, Tanabe Y, Sato I, Takemae N, Saito T, Zaraket H, and Saito R. Community- and hospital-acquired infections with oseltamivir- and peramivir-resistant influenza A(H1N1)pdm09 viruses during the 2015-2016 season in Japan. Virus genes. 2016.


【コメント】
2015−2016年に各地の先生方からインフルエンザの検体を採取していただいた中でみつかったH275Y変異株ーいわゆるオセルタミビル耐性株です。

頻度は2%ほどで高くありませんでした。一安心。
今後、耐性株に罹患したかたの臨床経過も英文化する予定です。

レビューワーのコメントで、NA酵素機能のKm値、Vmax値を計りました。当教室でははじめての試みだったのですが、Hassanが論文を紹介してくれて、助かりました。技師の小幡さんががんばって測定してくれました。


3). Shobugawa Y, Takeuchi T, Hibino A, Hassan MR, Yagami R, Kondo H, Odagiri T, and Saito R. Occurrence of human respiratory syncytial virus in summer in Japan. Epidemiology and infection 145:272-284. 2017. 

【コメント】
RSウイルスはなぜ日本で夏に流行るようになったのか?という大疑問にチャレンジした論文です。
夏にRSウイルスが流行する条件をで、准教授の菖蒲川先生が、以前の修士の竹内君の解析をもとにさらに詳しく解析してくれました。


4). Zaraket H, Kondo H, Hibino A, Yagami R, Odagiri T, Takemae N, Tsunekuni R, Saito T, Myint YY, Kyaw Y, Oo KY, Tin HH, Lin N, Anh NP, Hang Nle K, Mai le Q, Hassan MR, Shobugawa Y, Tang J, Dbaibo G, and Saito R. Full Genome Characterization of Human Influenza A/H3N2 Isolates from Asian Countries Reveals a Rare Amantadine Resistance-Conferring Mutation and Novel PB1-F2 Polymorphisms. Frontiers in microbiology 7:262. 2016.

【コメント】
JSPSアジアアフリカ基盤学術B「アジアの熱帯亜熱帯に於けるインフルエンザウイルスの動態と対策の検討」(代表者:齋藤玲子)としで、H25-H27年に、ミャンマーレバノン、マレーシア、ベトナムのインフルエンザを調査したものです。
日本のA/H3N2から、あたらしい変異のアマンタジン耐性株S31Dがみつかりました。他の国にはありませんでしたが、今後もアマンタジン耐性株はおいかけていきたいと思います(私の博論でした)。


5). Saito R, Akinobu H, Shaker RA, Akel IS, Assaf-Casals A, Lteif M, Odagiri T, Inaba R, Soudani N, Khafaja S, Ghanem ST, Rajab M, Shobugawa Y, Dbaibo GS, and Zaraket H. Characterization of influenza outbreaks in Lebanon during the 2013/14 and 2014/15 seasons. Eastern Mediterranean health journal 22:547-551. 2016.

【コメント】
レバノンのインフルエンザサーベイランスの結果をまとめたものです。レバノン株は当然のことながら中東の株に近いですが、ヨーロッパ株にも近い特徴があります。大学院生の日比野さんの名前が"Hibino A"ではなく、"Akinobu H"になっていることを今発見しました(オタオタ)。


6). Kondo H, Shobugawa Y, Hibino A, Yagami R, Dapat C, Okazaki M, Otsuka T, Fujii K, Hassan MR, and Saito R. Influenza Virus Shedding in Laninamivir-Treated Children upon Returning to School. The Tohoku journal of experimental medicine 238:113-121. 2016.

【コメント】
近藤大貴さんの卒業論文です。佐渡の先生方に協力して貰い、インフルエンザをラニナミビルで治療した際のウイルス量の変化を、学校保健安全法の休業期間と比較して、出席停止後にウイルスは検出されるかどうかみたものです。結果はわずかに検出されますが、他の児童にうつすほど多くないというものでした。
当教室で使っているインフルエンザA型とB型の定量リアルタイムPCRのプライマーとプローブ配列が載っています。


7). Inaida S, Shobugawa Y, Matsuno S, Saito R, and Suzuki H. Delayed norovirus epidemic in the 2009-2010 season in Japan: potential relationship with intensive hand sanitizer use for pandemic influenza. Epidemiology and infection 144:2561-2567. 2016.

【コメント】
社会人大学院生だった井内田さんの論文。インフルエンザパンデミックの際は、手洗いを励行していたので、ノロウイルスの流行が遅くなったというものです。

8). Takemae N, Shobugawa Y, Nguyen PT, Nguyen T, Nguyen TN, To TL, Thai PD, Nguyen TD, Nguyen DT, Nguyen DK, Do HT, Le TQ, Hua PT, Van Vo H, Nguyen DT, Nguyen DH, Uchida Y, Saito R, and Saito T. Effect of herd size on subclinical infection of swine in Vietnam with influenza A viruses. BMC Vet Res 12:227. 2016.

【コメント】
動物衛生研究所の竹前先生の論文です。ベトナムでの農場の調査により、ブタでのインフルエンザ罹患がどのようなファクターで起こりやすいかみたもの。
GPSを使って調査されており、当教室も菖蒲川准教授がGIS解析や疫学解析に貢献しました。

動物衛生研究所の西藤先生のグループは、すばらしい海外フィールド調査をされています。


固い内容になったので、甘いケーキの写真を!
札幌で食べたケーキです。

この京王プラザのロゴがインフルエンザウイルスにそっくり!と話題です(非常にローカルな研究者のみで)。

今年も教室員一同、論文をがんばります!